ぴあフィルムフェスティバル

第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル(PFF))のコンペティション部門の表彰式が、9月24日に東京国立近代美術館フィルムセンターで開催された。見事、グランプリに輝いたのは、流麗なカメラワークと、自然体の表情を生き生きと切り取った東京造形大学在学中の杉本大地監督(22)『あるみち』だった。

今年のPFFは、応募総数は577本で、16mmのフィルムはたった1本。応募者の平均年齢は29.4歳、最年少17歳、最年長73歳、男女比は8対2、これまでの応募総数は累計2万本を超えているとのこと。昨年は、入選作21作品中10作が海外の映画祭で上映されたということで、改めてPFFが、新人映画監督の登竜門という役割をしっかりと果たしてきたことが伺える。

PFFエグゼクティブ・プロデューサー矢内廣

PFFエグゼクティブ・プロデューサー矢内廣は「実は、PFFの入選監督の内の100人、すなわち4人に1人はプロの映画監督になっている。それは大変意味のあること」と感慨深い表情で語った。

種田陽平美術監督×周防正行監督の対談

さらに自主映画コンペティションのほか、様々な特集上映やトークイベントもPFFの魅力。今年は、種田陽平美術監督×周防正行監督の対談「21世紀から観る小津安二郎の映画と空間」や、伊地智啓プロデューサー×濱口竜介監督の対談「撮影所なき時代に映画をつくる方法」、伝説的自主映画「闇打つ心臓」上映と併せた長崎俊一監督×山本政志監督×諏訪敦彦監督3者によるトークショーなど、まさにPFFならではの映画ファン必見のトークショーが連日開催された。

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PFFアワード受賞監督+最終審査員

続いて各賞の発表へ。前半では、日本映画ペンクラブ賞と観客賞を『いさなとり』藤川史人監督がW受賞、また、映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)、ジェムストーン賞(日活賞)、エンタテインメント賞(ホリプロ賞)を中山剛平監督がトリプル受賞し、会場から「おお!」と歓声が上がった。

『したさきのさき』中山監督

三冠の『したさきのさき』は、少女が、クラスで人気者のハンサム男子の唾液を求めるというユニークな作品だ。日活の佐藤直樹社長は「監督は変態でも良いんです。表現の手法は多彩であるべき」と絶賛した。中山監督は「僕が中学生の頃に体験したことを、スクリーンで見たら絶対ドキドキするだろうと思いながら作りました」とコメントし、笑いを誘った。

続いて、俳優・映画監督の奥田瑛二氏、大友啓史監督、熊切和嘉監督、小説家の阿部和重氏、西村義明プロデューサーといった、PFF最終審査員が選ぶ3賞5作品が、いよいよ発表された!

<受賞結果>

  • グランプリ
    『あるみち』杉本大地監督
  • 準グランプリ
    『ムーンライトハネムーン』冨永太郎監督
  • 審査員特別賞
    『嘘と汚れ』猪狩裕子監督
    『ゴロン、バタン、キュー』山元環監督
    『わたしはアーティスト』籔下雷太監督
  • エンタテインメント賞(ホリプロ賞)
    『したさきのさき』中山剛平監督
  • ジェムストーン賞(日活賞)
    『したさきのさき』中山剛平監督
  • 映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)
    『したさきのさき』中山剛平監督
  • 観客賞
    『いさなとり』藤川史人監督
  • 日本映画ペンクラブ賞
    『いさなとり』藤川史人監督

阿部氏は、グランプリ受賞作『あるみち』杉本大地監督について「現場を統率し、出ている方たちの芝居をまとめ、映像として構成するというところで、極めて上手くいっている。カメラの存在を感じさせないくらい馴染んでいる」と高く評価した。

グランプリ受賞作『あるみち』杉本大地監督

杉本監督は、製作に携わった友人たちに感謝した後、本作への手応えを口にした。「自分のなかでは大きな自信があって出したのですが、他の人の目にはどう映るんだろうとすごく不安でした。こうやって審査員の方々にくみとっていただけたことがすごくうれしいです」。

総評を語る審査員たちの言葉も熱い。西村プロデューサーは「技術も含め、みんな素晴らしい」と賛辞を送る。熊切監督は「映画を撮っていくのは大変で、僕も去年まで家賃を滞納していました(苦笑)。それでも生き延び、映画を撮るしかないんだと腹をくくる人が生き残れる」と、若き監督たちを激励した。

俳優・映画監督の奥田瑛二氏

奥田氏も、力強い言葉で表彰式を締めくくった。「続けると見えてくるものがいっぱいある。冒険は命懸けです。実際、私も独立プロでやっていますが、家族ぐるみで命懸けです。みなさんもこれからもめげないで、命懸けで冒険心をもって続けていただきたい」。

なお、東京開催が終了したPFFだが、現在は京都会場(10/9まで)、そのあと神戸、名古屋、福岡での地方開催も控えている。それぞれお近くに在住の方は、是非その目でこれまでにはない新しい才能の数々を目撃ください!【取材・文/山崎伸子】

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