映画祭TAMA CINEMA FORUM

今年で第25回を迎える「映画祭TAMA CINEMA FORUM」が11月21日~29日の9日間にわたって開催された。市民主体の映画祭としては日本最大級の規模を誇る本映画祭。印象的なイベントをご紹介しつつ、映画祭を振り返ってみたい。

「映画祭TAMA CINEMA FORUM」は、多摩市制施行20周年記念行事として1991年にスタート。毎年映画好きの一般市民たちが多数集い、およそ1年に渡り議論が重ねられ、映画ファンならではの目線による充実した特集ラインナップと、その手作り感溢れる温かな雰囲気が多くの映画ファンに支持されてきた。

集合写真

広瀬すず&綾瀬はるか

映画祭初日となる11月21日には、第7回TAMA映画賞の授賞式がパルテノン多摩で行われ、今年映画界を賑わせた豪華キャストが登場した。優れた作品が並ぶ中、最優秀作品賞を受賞したのは、是枝裕和監督の『海街diary』。主演の綾瀬はるかは最優秀女優賞、妹役として共演した広瀬すずも最優秀新進女優賞に輝き、久しぶりの再会を果たした“姉妹”コンビがうれしそうな笑顔を見せて会場を沸かせた。

野村周平

最優秀男優賞を受賞した永瀬正敏と綾野剛が席を並べて談笑したりと、作品の枠を超えて役者陣の素顔が見られるのも映画祭授賞式の醍醐味。最優秀新進男優賞を手にした野村周平は、最優秀新進女優賞の広瀬、杉咲花のどちらとも別作品で共演したことがあるそうで、「すずちゃん、花ちゃん、いつも現場で華やかでいてくれてありがとう。今日は一段ときれいだね」と語りかけ、会場の爆笑を誘っていた。
(授賞式の様子はコチラもチェック!)

また授賞式に出席できなかった最優秀女優賞の樹木希林は、11月28日にパルテノン多摩で行われた特集「役者・樹木希林」のトークショーに登壇。樹木が旅する姿を映すドキュメンタリー『神宮希林 わたしの神様』、河瀬直美監督作『あん』の上映後に『神宮希林 わたしの神様』でプロデューサーを務めた阿武野勝彦とともに樹木が現れるや、映画の興奮冷めやらぬ会場からは割れんばかりの拍手が起こり、樹木もうれしそうにニッコリ。

樹木希林がトークショーに登壇

トークショーの中では同じく阿武野氏がプロデュースした東海テレビ制作のドキュメンタリー番組「戦後70年 樹木希林 ドキュメンタリーの旅」の一部が流され、『あん』の徳江役のモデルとなった上野正子さんを訪ねる姿が会場に披露された。樹木と上野さんの心温まる交流、絶妙なやり取りに笑いながらも涙を流す観客も多く見受けられ、感動に包まれたこの日のトークショー。樹木は、上野さんから「悲しさと明るさを感じた」といい、「上野さんの苦しみがわかるなんてとんでもない。おこがましいと思います」と胸の内を明かした。

仕事への誇りを語っていた

しかしながら客席から「なぜ女優になったのですか?」との質問が上がると、「行きがかり上なのよ」と笑顔を浮かべつつ、「今になってみれば偶然も必然だったのかなと思う」と告白。「この職業は、自分の体をもって世の中の人を映し出す仕事だと実感を抱いた。上野さんの気持ちを『あん』に持ってこようと思った。人間を演じるという意味では、今頃になっていい仕事に就いたと思うようになった」と人生の光と影を伝える仕事への誇りを語っていた。

人間力あふれるトークに、会場からは万雷の拍手が鳴り響いていた

最後には「シワが出て、たるんできて、それが商売になる仕事。修正すると商売にならないと私は思う。みんな修正をよくしますよね。きれいになるけれど、それじゃ役はなくなっちゃうわよね」と希林節をお見舞い。人間力あふれるトークに、会場からは万雷の拍手が鳴り響いていた。【取材・文/成田おり枝】

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(後編へつづく)