11月21日~29日の9日間にわたって開催された「第25回 映画祭TAMA CINEMA FORUM」。印象的なイベントをご紹介しつつ、映画祭を振り返るレポート<後編>をお届けする。

上映会と授賞式が行われた

11月28日にはヴィータホールにて「第16回TAMA NEW WAVEコンペティション」の5作品一挙上映会と授賞式が行われた。日本映画界に新風を送り込む新しい才能の発見を目的とする、中・長編コンペティション「TAMA NEW WAVE」。この日は上映会と授賞式の間を使い、130作品もの応募の中から選ばれたコンペティション5作品の若手監督、ゲストの深田晃司監督(『さようなら』『ほとりの朔子』)&横浜聡子監督(『ウルトラミラクルラブストーリー』『俳優 亀岡拓次』)で、「人を惹きつける映画」について議論を白熱させた。

客席も一体となって深い議論に発展していた

ひと作品ごとに、好きなシーンや疑問を率直に若手監督にぶつけた深田監督と横浜監督。堀江貴大監督の『いたくても いたくても』について、深田監督は「基本となる仕掛けがすごい面白い。プロレスと通販という設定をいかして、バカバカしいことに大人たちが本気で取り組んでいる。この設定を思いついただけで映画の価値は決まった」と評価。一方、「仕掛けが面白いだけに、俳優陣の年齢層がみんな近いのが気になった」と明かすと、客席も一体となって深い議論に発展していた。

最後には、「偉そうなことを言いましたが、立場もキャリアもあまり変わらない」と深田監督。横浜監督も「自分より年下の皆さんの作品を観ることができた。これからライバル同士でよろしくお願いいたします」と笑顔を見せるなど、作り手としての同志感とエールにあふれたトークバトルとなった。

堀江監督は感激の面持ち

気になるグランプリは見事、『いたくても いたくても』が受賞。堀江監督は「無茶な設定に説得力を持たせてくれたのは、俳優のみなさんとスタッフのみなさんのおかげ」と感激の面持ちだ。同作は、ベスト男優賞、女優賞の3冠を達成。若手監督たちの今後の活躍へと期待を込めつつ、会場からは温かな拍手が送られていた。

「第16回TAMA NEW WAVE」受賞結果

  • グランプリ
    堀江貴大監督『いたくても いたくても』
  • 特別賞
    冨永太郎監督『ムーンライトハネムーン』
  • ベスト男優賞
    嶺豪一『いたくても いたくても』
  • ベスト女優賞
    澁谷麻美『いたくても いたくても』

大画面で日本人のルーツを再確認できる、貴重な機会となった

また、往年の時代劇ファンから若い世代までが駆けつけたのが、11月29日にベルブホールにて行われた特集「時代劇の魅力」。時代劇専門チャンネルによるオリジナルドラマ『鬼平外伝 老盗流転』、続編の公開も決まっている大ヒット作『超高速!参勤交代』の2作品が上映され、相手を思いやる心や、手に汗握る殺陣の迫力など、多くの観客が時代劇の持つ色褪せない魅力を堪能。大画面で日本人のルーツを再確認できる、貴重な機会となった様子だ。

独自の切り口による豊富なラインナップ、映画ファンとの交流を楽しみに訪れる豪華登壇者など、映画を通して、作り手と観客が語り合える「映画祭TAMA CINEMA FORUM」。各会場ではボランティアスタッフが笑顔で迎えてくれるなど、愛あふれる温かな映画祭だった。【取材・文/成田おり枝】

各会場ではボランティアスタッフが笑顔で迎えてくれるなど、愛あふれる温かな映画祭だった。