9/10(土)から9/23(金)まで東京国立近代美術館フィルムセンターで開催されるPFF(ぴあフィルムフェスティバル)。今年で38回目を迎える同映画祭の目玉は、何といっても日本最大の自主映画のコンペティション“PFFアワード2016”。これまで同映画祭から橋口亮輔、矢口史靖、塚本晋也、園子温はじめ現在の日本映画界を支える名監督たちを多数輩出してきた。今年ノミネート作品として残ったのは20作品。いずれも唯一無二の個性的な作品ばかりだが、今回日映シネマガスタッフ4名が全20作品を鑑賞し、それぞれ独断と偏見でグランプリ作品を予想! 競馬にならい4名が◎本命、○対抗、△連下で3作品をセレクションした上、議論いたしました。その模様の後編をお送りいたします!!!!(前編はコチラ

ノミネート20作品
ノミネート20作品

<グランプリ予想メンバー>

映検・・・日本で唯一の“映画検定マスター”として知る人ぞ知る映画通

KP・・・日本映画史に残る数々の名作を産み出してきた映画プロデューサー

カク・・・日映シネマガにて映画祭紀行コラムを担当する放蕩の映画愛好家

ミナ・・・日本映画専門チャンネルメルマガを担当する今回紅一点の映画娘

<グランプリ予想結果発表>

映検・・・◎「食卓」、○「回転(サイクリング)」、△「ヴァ二タス」

KP・・・◎「食卓」、○「ヴァ二タス」、△「溶ける」

カク・・・◎「食卓」、○「ヴァ二タス」、△「回転(サイクリング)」

ミナ・・・◎「傀儡」、○「食卓」、△「もっけのさいわい」

カク とりあえず前編に引き続きまして、ここからは推し作品が被った3作品を取り上げます。まずは映検さんと僕2人が推す「回転(サイクリング)」からいきましょう。

「回転(サイクリング)」
「回転(サイクリング)」

カク 推しといて何なんですが、ぶっちゃけ僕はこの作品がまったく分からないんですよ(笑)。だからむしろ映検さんと被ったのが意外で。この作品って、一体何なんですか(笑)。

映検 いやいや、私もよくわかっていないよ(笑)。まず、おじさんとおばさん2人が交互に日々の生活スタイルをインタビュー形式で語って、ドキュメンタリーなのかと思ったら、急に劇映画に切り替わって、互いの生活習慣が入れ替わるというね。それだけしか私にも分からない(笑)。

ミナ それって公式サイトの作品紹介ままじゃないですか(笑)。

映検 その切り替わるのが、大林宣彦監督「転校生」的な身体と心が入れ替わるってことかなと一瞬思ったのですが、だとしたら身体が入れ替わった事に驚くハズで、何もなく入れ替わったまま最後まで進むのでそういう事でもないんじゃないかと…。

映検 また姉と弟という設定に気持ち悪さがあったりするんだけど、結局だからといって俺も何だか分からない(笑)。とにかく意味がわからなかったけど、そのわからなさ、気持ち悪さが面白かった。

カク 僕も全く同じなんですよ。丁度つい先日かつてPFF事務局員だった方とお酒を飲む機会があって、このような事前予想をやるためにひたすら作品を観ている話を伝えたら、「私がPFF事務局スタッフで一次審査を担当していた時は、各担当者200時間程度の作品は観てた」と伺って、あぁ14時間程度ぬるいなと思ったんですが(笑)。

KP それ聞くと確かにまったくぬるいね。来年は事前審査からやりなさい。

カク いやいや。ただしもちろん200時間一挙じゃなくて、1日12時間ぐらい観て作品ごとに○△×を付けていくと。そして、ある日これまで観た記録をふいに見返した時に、○をつけたけど思い出せない作品と、逆に×をつけたのに凄く憶えている作品があったらしいんです。

映検 なるほど、それは面白いね。一般の劇場映画でもそういうのはある気がするな。

カク で、そうした場合どちらを次に残したんですかと聞いたら、×付けたけど覚えていた方だと。それを聞いて、そうだよなと凄く納得できたんです。だから僕にとって今回それがこの「回転(サイクリング)」という作品なんですよね。

ミナ 私もまったくわかりませんでしたけど、確かに気にはなりました。タイトルと宣伝写真も印象的ですし。何よりこれだけ映画をいっぱい観ているお三方が、揃いも揃って誰も説明できないのはスゴイと思ってしまいました(笑)。

カク 頭が悪くて申し訳ない(笑)。続いては映検さん、KPさん、僕の3人が推した「ヴァ二タス」という作品です。

「ヴァ二タス」
「ヴァ二タス」

映検 いま流行のLGBTもので、要するにBL系の話で女が一人も出て来ないという。先に言ってしまうと、長過ぎると思う(笑)。特にオープニングから長回し、私はせっかちだから早く次行け!って思ってしまった。

カク 僕は意外とすんなり入っていけましたけども。画のトーン含めて何か独特の浮遊感があって、確かに長くはありましたが、最後まで見入ってしまいました。ちなみに、おっさん3人が推してますが、女性視点から見るとどんな感想?

ミナ 男しか出てこないから、女性にわかりにくい映画だと思いますね。なんでこんなに男子って仲良いだろうと思ったし。もっと互いに話せばいいのに、話さないことが男の友情なんですか?

カク 麻雀やったり男っぽいところ満載なのに、そういう時だけ女面するんだね(笑)。

KP この監督も若いんだよね。23歳で初監督作ということだけど、とにかく綺麗な映画だった。画の切り取り方がシャープでとても良い。

カク このあと最後にお話しする「食卓」と全く真逆ですね(笑)。確かに画が美しいです。

KP ただやっぱり長いよな…。半分くらいにまとめてテンポよくまとめればもっとよくなった気がするけど、少なくとも将来性は非常に感じる。

カク ただし登場人物たちの間が非常に重要な映画なので、その意味である程度の長さが必要な作品じゃないかと一方で僕は思いました。そして、いよいよラストとして4人全員が推して、さらにその内3人が本命とした問題作「食卓」です。

「食卓」
「食卓」

KP いや、こんなこと最初に言うのは何だけど、3人が本命というと世紀の大傑作みたいに思われるかもしれないけど、そんなことはなくて(笑)。「ヴァ二タス」同様にこれも50分程度だけど少し長いなと思ったし、何より観てて汚くて嫌だなと。

カク そこですか!だって汚いところが売りの作品じゃないですか(笑)。

KP いや、持論として映画はちょっと綺麗なほうがいいというのがあって。ただし登場人物3人のキャラがよくできていて、基本的に飽きさせないよね。

映検 人を食った設定の面白さもあるんですけど、繋ぎが独特で面白かった。

カク 基本ダメな家族3人の話で、途中登場人物の一人である息子がナルシスチックに意味不明なポエムをいきなり読んだりするんですけど、イイ意味で酷いなと(笑)。

映検 ややわざとらしいけど、いわゆる脱力系コメディでね。

カク この作品はミナも推してますが、女性目線から見て汚くても観れたの?

ミナ そこは全然気になりませんでした。むしろ好きな世界観です(笑)。台詞が少ないのに登場人物が全員キャラ立ちしていて、脚本がいいのかなと思いました。

カク 脚本の良さも多分にありますが、あとはよくもまぁこんな役者3人を集めたなと(笑)。この方たち普段なにしてるんだろうかと…とにかくこの作品にドンピシャでしたね。

ということで、日映シネマガ事前グランプリ予想作品は4人の総意により「食卓」に決定!

KP ちょっとフォローが必要で、尺もジャンルもバラバラだし、あくまで今回集まった4人の予想なのでという点はものすごく強調した方がよいと思う。

映検 改めてPFFに残る作品というのは同じようなものが1作品もないなと思ったね。観た人それぞれで全く違う印象や結果になるのは間違いないから。

ミナ わたし3本には入れませんでしたけど、「また一緒に寝ようね」という作品はスゴイ好きです。観終わって初めて、タイトルの本当の意味が分かるんですけど、私も「また一緒に寝ようね」とちょっと言ってみたくなりましたし。

カク そんなこと言ったらキリがなくて、俺も3本には入れなかったけど「福島桜紀行」というドキュメンタリーとか凄く感動したし…。結論から言いますと、こんな事前予想など一切無視して、映画ファンの皆様は是非20作品すべてご覧くださいってことですね(笑)。

KP お後がよろしいようで(笑)。

ということで、果たしてノミネート作20作品の中から見事グランプリに輝くのはどの作品なのか! 上映スケジュールを第38回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)公式サイトでご確認の上、みなさまも是非審査員の一人としてご参加ください!