巨星・三島由紀夫が自ら愛した異色のSF小説『美しい星』を、『桐島、部活やめるってよ』(’12年)、『紙の月』(’14年)の鬼才・吉田大八が悲願の映画化。舞台を現代に大胆アップデートし、ある日突然“覚醒”した「宇宙人」の姿を通して、現代を生きる「人間」を鮮やかに活写した新感覚エンターテイメントが誕生した。本作で、大杉家の“美人すぎて周囲から浮いている女子大生”の娘・暁子を演じた橋本愛に話を聞いた。

橋本愛

自分を「宇宙人」と思うことが
実はとても「人間」くさい

――『美しい星』という映画は、非常に説明が難しい作品だと思います。橋本さんなら、この映画をどのように説明しますか?

題材的には宇宙観が満載なので、SFっぽく見えがちだと思うのですが、最後には家族という小さな集合体に帰結する、というのがこの映画の特徴です。壮大なスケールで大きなテーマを扱っている作品だけれども、日々の生活に置き換えられるところが随所にあって、観た人には「人間愛」「家族愛」を敏感に感じ取ってもらえる作品だと思います。

――橋本さんは「人間」から「金星人」に“覚醒”した暁子という役を演じられました。演じるにあたり、「人間」と「金星人」のどちらを意識されたのですか?

100%「人間」のつもりで演じました。原作の小説を読んでいても感じたことなのですが、自分を「宇宙人」「金星人」と思うことで、自信を持って生きられるという気持ちは、普通の女の子も男の子も普遍的に持っているものだと思うんですよね。たとえば、人と違う一面があること、特別な存在として認められることとか、自己陶酔できることは「人間」にとってすごく喜ばしいこと。(「宇宙人」の)自分は地球人には到達できないところにいる、地球人が考えていないことを考えているといった気持ちも、実はとても「人間」くさいこと。だから、「宇宙人」だと思うことがとても人間的だと思って、普通の女の子を演じていました。

――リリー・フランキーさんをはじめ、「大杉家」のみなさんはどんな方々でしたか?

リリーさんとは、以前にも共演させていただいたことがあったのですが、相変わらず面白いおじさんでした(笑)。お話がすごく面白いので、一緒にいて楽しい。だから、お父さんと思えるのかな…と思ったのですが、お芝居になるとさすがでした。暁子のお父さんだと納得させられましたね。お兄ちゃんの亀梨(和也)さんは、今回初めて共演させていただいて、最初はどんな方なのだろう…と思っていたのですが、すごく気さくで、他愛のないことをフランクに話してくれる人。お母さんの中嶋(朋子)さんも面白い方で、撮影当時、宇宙人を題材にしたミュージアムが近所にあったらしく、そのチラシを現場に持ってくれたり。みなさん共通して気さくな方で、とても楽しい現場でした。4人で集まるシーンは多くなかったのですが、撮影中はずっと「家族」を共有できていました。

橋本愛

「自分は絶対に美しい」と
自己暗示をかけ続けた

――吉田大八監督作品の出演は『桐島、部活やめるってよ』以来となりました。久しぶりにお仕事をされてみて、いかがでしたか?

前作の時は、自分は経験が浅く、年齢も若く、視野も狭かったので、監督と満足なコミュニケーションが取れていなかったかもしれません。時を経て、カメラマンさんも照明さんも同じスタッフさんでご一緒して、現場の見え方が全然違いました。あの頃は端っこのほうで何となくすごいなと思っていたことが、今回の撮影を通じてプロフェッショナルだらけのすごい現場でやっていたんだなと改めて実感しました。『桐島、部活やめるってよ』の時の監督は、ちょっとシャイで、冷静で、炎か氷かで言えば、氷。でも、内には熱いものを持っているという印象。今回の撮影でもやっぱり内に熱いものがあると感じられたし、私も成人して大人になって、その熱さにようやく向き合えた気がしました。それを感じ取れたのがすごく嬉しかったです。

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